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「あなたのやってきたことはすべて素晴らしい」 この考え方になると、自分が大好きになります。自分の可能性が信じられるようになります。謙虚になれます。心から感謝できるようになります。 そんな学びの日々を記録しています。
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60歳の若さで無念にも亡くなってしまった叔父が私に宛てた一枚のハガキが突然現れた。

10月末に引っ越しをしたのだが、その後も乱雑に紙類を押し込めた引き出しの中にまぎれ混んでいたのだ。そのハガキはよく見ると賀状であった。

手紙や葉書は別のところにまとめてあったので、おそらく当時の私としては、出産して明けた年なので、周辺も慌ただしく、そんなに気にとめることもなく、散らかしたままにしていたのだろう。

私への宛先住所と左寄せに「男子出生おめでとうございます」とだけ個性的な字体でさらりと書いてあった。表の絵柄は、叔父はデザイナーだったので、絵の具のグレイをバックにブーケのリトグラフが印刷されていた。

その筆跡を目にして、思わず涙がこぼれた。

その字が「生きていた」ように見えた。生きている人の体温を感じた。

叔父の全人格が思い出された。

叔父には大変失礼かもしれないが、残した賀状のステキでモダンなデザインを見て感慨にふけるというのではない。「筆跡」を見て、忘れていた感情が蓋を押しあけて、一気に噴き出てきた。

叔父は私の出産祝いにとびっきり上等でモダンなベビーカーを送ってくれて、「当時」の私はそのプレゼントに喜々としていたかもしれない。その年の年賀状なんて2秒ぐらい目を通しただけだったかもしれない。記憶にも残ることなく、スルーした年賀状が、今、目の前にとてつもない存在感をもって現れた。

なぜこんなに、筆跡がものを語り始めるのかというと、それは「言葉の力」もあるのだろう。ひとことの優しいことばがその人ならではの筆跡のビジュアルな表現と一緒になって相乗効果をなす。

なるほど、「書」の根源的な力と意味、芸術性を、一枚のハガキが教えてくれたような気がした。書とは、市井の人々の日常から、生まれるべくして生まれたのだと。



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